先に結論
岐阜県と長野県にはツキノワグマが生息し、中山道周辺の森林も生息域に含まれます。歩く日の朝に公式の目撃情報を確認し、早朝と夕暮れを避け、できるだけ2人以上で歩き、自分の存在を音で知らせてください。クマを見かけても走らず、目を離さずにゆっくり後退します。
中津川や中山道周辺の森林・山間部を歩くなら、クマについて知ることも旅の準備に含まれます。
ただ、「本州と四国にツキノワグマが分布する」と言われても、日本の地理に詳しくない海外旅行者には、自分の旅先とどう関係するのか分かりにくいかもしれません。
まず、日本には2種類のクマがいます。北海道に生息するのはヒグマです。本州と四国の一部に分布するのはツキノワグマです。中津川市がある岐阜県は、本州の中央部に位置します。中津川や馬籠、妻籠周辺で注意するのは、ツキノワグマです。

左:ツキノワグマ、右:ヒグマ。どちらも中津川で撮影したものではありません。

この図は、日本のどこに2種類のクマが分布するかを説明する概略図です。現在の目撃地点を示すものではありません。
ツキノワグマは本来、人との接触を避けて行動する傾向があります。しかし、見通しの悪い場所で急に出会ったり、子グマの近くに親グマがいたりすると、危険な状況になる可能性があります。
大切なのは、必要以上に怖がることではありません。歩く場所の特徴を知り、出発当日に最新情報を確認し、遭遇をできるだけ避ける準備をすることです。
出発当日に確認する公式情報
クマの目撃情報や注意報は変わります。旅程を作った日ではなく、実際に歩く日の朝に確認してください。
岐阜県・中津川側
岐阜県のページから、目撃日と目撃場所を確認できる「岐阜県クママップ」へ進めます。
長野県・妻籠側
妻籠宿公式ウェブサイトは、妻籠〜馬籠を歩く人に、出発前に観光案内所や観光協会へ情報を確認するよう案内しています。
最終確認日:2026年8月31日
この日の確認時点では、岐阜県はツキノワグマ出没注意情報を発令していました。また、妻籠宿公式ウェブサイトは、2026年にも南木曽町内で目撃情報があると案内しています。出発当日は、必ず最新情報を確認してください。
馬籠宿〜妻籠宿の中山道にクマはいる?
岐阜県と長野県にはツキノワグマが生息しています。公的記録には妻籠・大妻籠地区の目撃が含まれますが、旧中山道上の目撃かどうかまでは公表されていません。
馬籠宿〜妻籠宿の定番中山道ウォークは、集落、森林、峠、沢沿いなど、環境が大きく変わるルートです。どこも同じ条件ではありません。

馬籠の高台から望む山と森林。

図は経路の順序と、注意を高めたい条件を示す概略図です。距離や地形を正確に表す地図ではなく、クマの現在地や「危険地点」を示すものでもありません。
長野県が公開した2025年7月の目撃情報一覧には、次の記録があります。
- 2025年7月24日:南木曽町吾妻・妻籠で1頭
- 2025年7月28日:南木曽町吾妻・大妻籠で1頭
公表資料は地区名までで、正確な地点や旧中山道上だったかどうかは示していません。この2件を、旧中山道上の正確な目撃地点として扱うことはできません。
2026年の長野県月別一覧にも南木曽町内の目撃が複数記録されていますが、公開一覧では詳しい地区名を確認できません。当日の情報は長野県のマップと観光案内所で確認してください。
馬籠宿・妻籠宿でクマ鈴を借りられる場所は?
妻籠宿公式ウェブサイトでは、馬籠観光案内所と妻籠観光案内所でクマ鈴を貸し出していると案内しています。利用条件は変わる可能性があるため、出発前に公式ページで確認してください。
中津川周辺に生息するクマの種類は?
環境省によると、ツキノワグマは森林に暮らす大型哺乳類です。胸の月の輪模様や性格には個体差があります。
草や木の実、果実を中心に、昆虫なども食べる雑食性で、季節によって食べ物や利用する標高が変わります。
活動時期は地域や気候によって異なりますが、おおむね3月から11月頃です。12月から2月頃は冬眠する時期とされています。ただし、暖冬や地域差によって前後するため、「冬だから必ず活動していない」とは考えないでください。
岐阜県は、ツキノワグマが県内のほぼ全域に生息していると案内しています。目撃情報がない場所でも、生息している可能性があります。
中山道でクマに遭遇しないためにできること
1. 早朝と夕暮れ時を避ける
中津川市は、人の往来が少ない山林や川辺では、クマが活発に行動する早朝と夕暮れ時の立ち入りを避けるよう案内しています。
明るい時間に歩き終えられる旅程にし、余裕を持って出発してください。
2. 一人で歩かず、自分の存在を知らせる
岐阜県と中津川市は、2人以上で行動し、クマ鈴やラジオなど音の出るものを使って人の存在を知らせるよう案内しています。声や手拍子で音を出す方法も、環境省の案内に含まれています。
見通しの悪い曲がり道、沢や滝の近く、強風や雨で音が届きにくい状況では、特に注意してください。クマ鈴を持つことだけで安心せず、目撃情報、時間帯、天候、周囲の見通しを合わせて判断します。
3. 新しい足跡やふんを見つけたら引き返す
岐阜県は、新しい足跡やふんを見つけた場合は、すぐに引き返すよう案内しています。
写真を撮るために近づいたり、その先の様子を確かめようとしたりしないでください。
4. 食べ物とごみを放置しない
食べ物、袋、ごみを無人の状態で置かないでください。できるだけ密閉し、残飯やごみはすべて持ち帰ります。
人の食べ物を覚えたクマは、人の生活圏へ近づく原因になります。旅人が食べ物やごみを管理することは、自分の安全だけでなく、地域と野生動物の距離を保つことにもつながります。
5. クマ撃退スプレーは、持つ前に使い方を確認する
環境省は、クマ撃退スプレーを購入・レンタルできる場所を事前に確認し、使用方法を理解しておくよう案内しています。
クマ撃退スプレーは飛行機の機内持ち込みも預け入れもできません。利用を考える場合は、日本到着後に入手できる場所を調べてください。
クマを見かけたらどうすればいい?
クマがこちらに気づいていない場合
- 近づかず、静かにその場を離れる
- 写真を撮るために距離を縮めない
- 子グマを見かけても近づかない。近くに親グマがいる可能性がある
クマがこちらに気づいた場合
- 大声を出さない
- 背中を見せて走らない
- 荷物や石を投げない
- クマを見ながら、落ち着いてゆっくり後退する
- 無理に通り抜けず、クマが去るまで距離を取る
クマを驚かせたり興奮させたりすると、攻撃につながる可能性があります。
攻撃を受けそうになった場合
環境省は、うつ伏せになり、首、顔、腹部を守るよう案内しています。クマ撃退スプレーを持ち、事前に使用方法を理解している場合は使用します。
中津川でクマを目撃したら
安全な場所へ離れてから、中津川市または警察へ目撃情報を伝えてください。
- 目の前に危険がある場合:警察 110
- けが人がいる場合:救急・消防 119
中津川市は、寄せられた情報をもとに、現地周辺の巡回や注意喚起を行います。自分で追い払おうとしたり、もう一度見に戻ったりしないでください。
中山道を歩く前のチェックリスト
- 岐阜県・中津川市、長野県・妻籠宿の最新情報を確認した
- 明るい時間に歩き終えられる計画にした
- できるだけ2人以上で行動する
- クマ鈴など、存在を知らせるものを準備した
- 食べ物とごみを密閉し、持ち帰れるようにした
- 新しい足跡やふんがあれば引き返すと決めた
- 110と119を確認した
- 予定を変更・中止できる余裕を残した
この記事は、中津川周辺と馬籠宿〜妻籠宿を歩く前の基本的な確認事項をまとめたものです。地域、季節、天候、その日の目撃情報によって状況は変わります。実際に歩く前には、必ず最新の公式情報を確認してください。
中津川を旅の拠点にする

Nakasendo Staysは、中山道と周辺地域を探索するための、直接運営の宿泊ブランドです。日程、人数、客室、空室状況によって料金は異なります。
馬籠宿〜妻籠宿を歩く予定なら、まずNakasendo Staysの中津川の宿を比較し、日程ごとの空室状況を確認してください。
電車・バスなどの移動方法は、Accessページもご覧ください。
予約前の一般的な質問や、どの施設が旅程に合うか迷う場合は、Nakasendo StaysのContactページからお問い合わせください。
文:Takuji Funahashi
公式情報
- 環境省「国立公園に出かける前に知っておきたいクマのこと」
- 環境省・JNTO「Before You Go: What to Know About Bears in Japan’s National Parks」
- 岐阜県「岐阜県に生息するクマ(ツキノワグマ)について」
- 中津川市「クマの出没にご注意ください」
- 中津川市「クマを目撃した場合」
- 長野県「ツキノワグマ情報マップ」
- 長野県「令和7年7月ツキノワグマ出没(目撃)情報」
- 妻籠宿公式ウェブサイト「歩く」
- 妻籠宿公式ウェブサイト「クマ・水難事故注意」
- JNTO「Japan Visitor Hotline」